全仏オープンテニスは、
テニスの4大メジャー大会の一つです。
フランスで行われるので、
フレンチオープンともいいます。
ウインブルドン、全米オープン、全豪オープンと並んで、
世界最高峰のトーナメントです。
フレンチオープンは、
フランス、パリのローランギャロスという町で行われます。
全仏オープンは、
メジャー大会で唯一クレーコートで行われます。
クレーコートとは土のコートのことです。
色が赤茶色をしているので、
レッドクレーといわれることもあります。
全仏オープンの最多優勝は、
ラファエルナダルが12回も優勝しています。
15回も出場していて、
3回しか負けていません。
圧倒的な強さですね。
しかし、長期間の世界ランキング1位の記録をもっている、
フェデラーやジョコビッチは1回しか優勝していません。
また、過去に世界ランキング1位だった、
ジョン・マッケンローやピートサンプラスも
全仏オープンでの優勝がありません。
全仏オープンは、世界ランキング上位の選手が
勝てない大会としても知られている大会なのです。
それは、ナダルのプレースタイルとクレーコートとの相性にあります。
この記事では、全仏オープンテニスの難しさ、
優勝する選手の凄さについてまとめてみました。
ラリーが続きやすい
クレーコートの難しさとして、
ラリーが続きやすいということがあります。
ラリーが続きやすいということは、
なかなか決まらないということです。
いいサーブを打っても返される、
決まったと思ったショットが返ってくる、
そんなストレスのたまるテニスを強いられるのが
クレーコートの難しさです。
なぜ、ラリーが続きやすいのかというと、
土のコートは、ハードコートに比べて、
表面が柔らかいからです。
例えば、同じ高さからボールを落とした場合、
コンクリートの上に落とすのと砂の上に落とすのとでは、
コンクリートに落とす方が高く弾むのは感覚的にわかると思います。
それは、砂がボールの勢いを吸収するからです。
同じように、クレーコートの上ではずんだボールは、
ボールの勢いが吸収され、
スピードが遅くなるのです。
なので、ハードコートならエースになるボールでも、
クレーコートは追いつかれる、
ということが起こるのです。
大坂なおみ選手が、
クレーコートが苦手な理由の一つは、
ここにあります。
大坂なおみ選手といえば、
速いサーブで相手のリターンを崩して、
早い展開でポイントを取るスタイルです。
しかし、クレーコートでボールの勢いが吸収されるので、
サービスエースのボールが返されるのです。
さらに、コースが甘いと、
ジャストミートしたリターンが返されるため、
本来取れるはずのポイントが取れなくなってしまいます。
なので、クレーコートでは、
早い展開で決めたい選手には不利になります。
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大坂なおみのプレースタイル
イレギュラーバウンドしやすい
roby0059によるPixabayからの画像クレーコートのもう一つの難しさは、
イレギュラーバウンドしやすいことです。
何しろ、土のコートですから、
プレーヤーの足跡が付きやすいのです。
シューズで滑ったあとは土が削れて跡ができます。
試合前にはローラーをかけて、
でこぼこのないようにするのですが、
試合が進むにつれてでこぼこになっていくのです。
なので、どんな弾み方をするのか予測がつきません。
真上に弾むこともあるし、
低く滑るように弾むこともあります。
そのため、どうしても後ろで待ってラリーを続ける展開になりやすい。
ロジャーフェデラーのような、
ライジングを打っているプレーヤーは、
ジャストミートが難しくなります。
ライジングショットでいいショットが打てても、
球の勢いが吸収されて返される。
いいショットが決まらないと、
自然とミスが増えます。
ボレーに出ても
パッシングショットで抜かれる。
こんな状態が続くと、
必然的に後ろに下がってラリーを続けるしかなくなります。
ハードコートや芝コートで強いプレーヤーが
クレーコートで勝てない理由がここにあります。
思うようなプレーができずにストレスがたまり、
ミスを繰り返してしまうからです。
だから、クレーコートだけ強い選手は
ランキングが低くても、
世界ランキング上位の選手に勝ててしまうのです。
全仏オープンがグランドスラムの高い壁になっているのは、
このような理由があるからです。
強靭な体力が必要
以上のことからわかるように、
クレーコートの全仏オープンでは、
どうしてもラリーが続きやすい展開になります。
そのため、必然的に試合時間も長くなります。
男子の試合は5セットマッチなので、
フルセットを戦うと5時間以上の長い試合になります。
女子でも、3時間を超える試合も多くなります。
全仏オープンで優勝する選手の凄さは、
長い時間プレーしても、
パフォーマンスが落ちない、
強靭な体力があるということです。
ベストショットを返球されてもめげない、
左右に振られても返球する
イレギュラーバウンドにも対応する
クレーコートでは、
とにかく走らされるシーンが多くなります。
長時間の試合はかなり疲れると思います。
でも、相手より1球多く返すことができればポイントです。
単純だけど、これを最後までやり抜ける選手が
全仏オープンで勝てる選手です。
2005年にナダルがデビューした頃は、
サーブもあまり速くないし、
バックハンドはスライスだけ、
フォアハンドで勝負する選手でした。
しかし、ナダルには強靭な体力とフットワークがありました。
準決勝の相手は世界ランキング1位のロジャーフェデラーです。
当時のフェデラーは、
グランドスラム2勝、マスターズシリーズ4勝と、
無敵の強さを誇っていました。
誰もが、フェデラーの勝ちを信じて疑いませんでした。
しかし、いざ試合に入ると、
フェデラーのショットをしつこく、しつこく返してで、
サービスをキープしていきます。
なかなかサービスブレークできないフェデラーはミスを繰り返し、
ナダルは確実にサービスキープしていきます。
終わってみれば、3‐1でナダルの圧勝でした。
サーブもあまり速くなく、
フォアハンドだけが武器のナダルが、
フェデラーに勝ってしまったのです。
ナダルはその後、サーブをスピードアップして、
ボレーにも出るようになり、
芝コートでもハードコートでも勝てるようになります。
そして全仏オープン初優勝から5年後に
全仏、全英、全米オープンに優勝して、
グランドスラムを達成しました。
単なるクレーコートのスペシャリストで終わらなかったのが
ナダルの凄いところですね。
でも、デビュー当時のナダルの優勝は、
全仏オープンを象徴するような試合だと思います。
まとめ
以上のことから全仏オープンは、、
- 4大メジャートーナメントで唯一クレーコートで行われる
- クレーコートでは、球の勢いが吸収されるのでラリーが続きやすい
- 早い展開でポイントを取りたい選手は不利
- イレギュラーバウンドしやすい
- ライジングで打つことが難しい
- 試合時間が長くなりやすいので強靭な体力が必要
- 長い試合をしてもパフォーマンスが落ちない選手が強い
ということが言えると思います。
全仏オープンでは、世界ランキングと関係なく、
クレーコートのスペシャリストが勝ち上がりやすい大会です。
グランドスラム(4大大会を全制覇)を狙う選手にとって
高い壁となることは間違いありません。
フォアハンドの基礎を学び力強いストロークを身につける
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